小学校1年生のミキの授業参観でのお話です。

国語の授業で、うさぎと亀の競争の話をしていました。

この競争の結末は、うさぎが途中で昼寝をしたために追い越されて亀の勝ちになります。
ウサギと亀が競争するこの物語は、うさぎの立場でいえば油断大敵。
亀の立場に立てば、足の遅い亀でも油断しないで一生懸命努力すれば、うさぎにも勝てるということを示しているのでしょう。

女性教師は、こうまとめました。

「うさぎさんは油断して寝てしまったけど、カメさんは目標に向かって一生懸命に歩き続けたから、足の速いうさぎさんに勝ったんですよ。」

子供たちと親たちが納得していると、1人の子供が手をあげて言いました。

それは、ミキです。

「カメさんは、どうしてうさぎさんを起こしてあげなかったの?
いっしょにかけっこしたら、いっしょにゴールできて、よろこべたのにね。
いっしょによろこぶほうが、ずっとうれしいんだよ。」

「 うさぎさんが速くて強いのは、カメさんを助けるためだし、カメさんは油断しなかったから、ウサギさんを助けられたのにね。」

・・・・・・

この人生には、無数の教訓が散りばめられている゜

しかし、どのひとつをとってみても

万人に当てはまるものはない゜

山本周五郎